なぜ読もうと思ったか
奥さんが読んでたので自分もなんとなく…というのは本音すぎるのでもうちょっとそれっぽいことをいうと、人間の負の面に惹かれるからです。悲劇を繰り返さないように、という教訓を得るためという目的ももちろんあるけれども、それ以前にダークなものにはどうしても惹かれてしまう。なので読んでみたくなった。
どのような本か
ダークツーリズム入門とはいうものの、そもそもそれ何なん?という人のために引用します。
"ダークツーリズム"とは、一言で言うと、戦争や災害をはじめとする悲劇の記憶をめぐる旅のこと。
ということだそうです。日本・欧米・アジア/アフリカ/オセアニアの3カテゴリに分けてダークツーリズムスポットが紹介されています。
書評というか感想
非常に興味深い本だった。
にわかには信じられないような悲劇が世界中で起こっていて、それは自然災害や核関連の事故だったりするし、また差別や貧困、戦争、そして虐殺であったりする。
有名どころで言えば、日本だと福島の原発関連施設や広島の平和記念公園、海外だとアウシュビッツ強制収容所やベルリンの壁、チェルノブイリ、アンネ・フランクの家などがある。この辺りはご存知の方が多いとは思うが、聞いたこともなかった場所や事件の方が衝撃的だった。
広島の大久野島、沖縄のクブラバリ、ボリビアのポトシ銀山、ルワンダのムランビ虐殺記念館など、何が起こったのか文章で読んでいるだけで気分が悪くなるほどで、どれも凄惨という他ない。普段生活していたら考えも及ばないようなことが現実に起こっていて、しかもそれら全てが大体数十年以内の出来事だというから驚きを隠せなかった。場合によっては自分が生まれてから起こっているわけで、これが同じ地球で起きていることなのかと思わずにはいられない。
読んで良かったと思う。平和な日々に改めて感謝するとともに、このような負の歴史を忘れてはいけない。忘れられないために、繰り返さないために、歴史を残すためにダークツーリズムスポットは作られている。行ってみたいような、行きたくないような、でもやっぱり行って、見て、体験した方が良いんだろうなと思う。ダークツーリズムをメインの目的にするかどうかはさておき、旅行時にダークツーリズムスポットを組み込むことは積極的にしていきたいと思った。
個人的には興味深い本だったけど、こういうのが苦手な人は読まない方がいいと思う。自分は耐性ある方だと思うが、それでもまあまあ胸糞が悪かった。ルワンダ虐殺とかエグすぎて厳しい…厳しいけど気になるのでネットで詳細を調べたりしてまた心を抉られる。みたいなことを何度か繰り返していた。人間とは環境次第でこうも残忍になれるなだという事実を認識できたのは大きな収穫だったけど、メンタルが若干やられた気もするのでご利用は計画的に。あ、本書にすごく生々しい表現や写真が載っているというわけではないです。ただただ事実として心にくるものがあるということです。
他にもいくつかダークツーリズム本があるようなので、あと1、2冊くらいは読みたいなあ。