yak shaving life

遠回りこそが最短の道

江之浦測候所に行った

普通に日記もここに書くことにした。

というわけで行った。江之浦測候所なるところに。江之浦測候所は、写真家で現代美術作家の杉本博司氏が手掛けた広大な施設であり、建築であり、美術作品である。

らしいのだが、そもそも測候所って何?初めて聞く言葉なんですけど?ということでGoogle先生に聞いてみたところ、測候所というのは

その地方の気象を観測し、天気予報・暴風警報などを発し、また地震・火山(の噴火)の観測をする所。 

だそうで。気候を測るから測候所かあ。で、それが現代美術となんの関係があるというのか…と誰もが抱きそうな疑問を抱きながらパンフレットを見ると、以下のようにコンセプトが説明されていた。公式HP にも書いてあるので全文引用。

アートは人類の精神史上において、その時代時代の人間の意識の最先端を提示し続けてきた。
アートは先ず人間の意識の誕生をその洞窟壁画で祝福した。
やがてアートは宗教に神の姿を啓示し、王達にはその権威の象徴を装飾した。
今、時代は成長の臨界点に至り、アートはその表現すべき対象を見失ってしまった。私達に出来る事、それはもう一度人類意識の発生現場に立ち戻って、意識のよってたつ由来を反芻してみる事ではないだろうか。
小田原文化財団「江之浦測候所」はそのような意識のもとに設計された。
悠久の昔、古代人が意識を持ってまずした事は、天空のうちにある自身の場を確認する作業であった。そしてそれがアートの起源でもあった。 新たなる命が再生される冬至、重要な折り返し点の夏至、通過点である春分秋分。天空を測候する事にもう一度立ち戻ってみる、そこにこそかすかな未来へと通ずる糸口が開いているように私は思う。

とのこと。ふ、深い…(語彙力)

僕は正直、アートに関する教養がゼロと言っても過言ではないくらい何もわからないのだけれども、奥さんに連れられてやってきたのでした。そこにあったのは広大な敷地と、特徴的な建築物、天空に佇む光学硝子舞台、石舞台や古美術ギャラリー、茶屋、庭園、そして自然。水平線や自然光を取り入れた、息を呑むような美しい景色。魯山人が所蔵していた井戸枠とか縄文時代に祀られていた石棒、幾何学的な数理模型作品から古代の化石まで、とにかく色んなものが。杉本氏が集めた宝物たちという感じだろうか。


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これは冬至の日の出を観測できる場所。冬至は巡り来る死と再生の節目として古代から祀られてきた特別な日らしい。隣にあるのは光学硝子舞台。

  

なんの知識もない自分でも楽しく過ごせる良い場所でした。パンフレットの解説も読み応えがあって、勉強になるし面白い。アートについて全然知らない人、つまり僕みたいな人間であっても行って損はないと思います。車で都心から1〜2時間くらい。オススメです。完全予約制なので注意。 

杉本博司さんの作品も少しずつ知っていけたら楽しそうだなあ。

 

こんなのとか 

こんなのもあった。興味深い。