なぜ読もうと思ったか
誰がアパレルを殺すのか気になったので。
どのような本か
時は2017年。国内アパレル業界はかつてない不振に喘いでいる。大手アパレル企業の売り上げは軒並み減少しており、店舗やブランドの閉鎖も相次いでいる。さらにはアパレルともちつもたれつの百貨店業界も危機的状況にある。
アパレル産業のこのような衰退はいったい何故起こったのか、いつから衰退は始まったのか。そして今、アパレルはどうなっているのか。未来はあるのか。
そんな感じの本です。
書評というか感想
面白かった。サプライチェーンの解説から始まり、戦後のアパレル産業の勃興、華々しいいわゆる「黄金期」から構造を転換できず業界全体が行き詰まっていく過程、近年業界の外から参入している新興勢力とITによるサービスの変革、そして業界の「中」から既存のルールを壊しそうとしている新興企業達。これ一冊読んだだけでアパレル産業を取り巻く状況がなんとなくでも理解できた気がする。気のせいかも知れないけど。
名だたるアパレル企業や百貨店の社長インタビューもあるし、ユニクロやゾゾタウン、メルカリの話も出てくるので話の内容が身近に感じられて理解しやすい。新しい業態や戦略で力を伸ばしている新興企業の紹介もあって良い。業界全体をマクロな視点で解説した後にこうやって企業単位でのミクロな話に入ると解像度が上がるというか、色々繋がる感じがして気持ちが良い。
勢いのある新興企業として紹介されているエバーレーン、エアークローゼット、レントザランウェイ、nutte、TOKYO BASE、ジャパンブルー、ミナペルホネン...などなど、正直一社も知らなかったけどどこも個性的な取り組みをしていて非常に面白いし、普段あまり触れない業界のことを知るのもいいなと思った。読書は良い。
それにしてもなかなかの良書だったと思う。オススメです。